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注文住宅で地下室のある家を建てたい

自分の理想を詰め込んだマイホームを建てられる注文住宅。注文住宅を建てたい人の中には、自宅に地下室を作りたいという人もいるでしょう。ここでは、そんな人のために注文住宅に地下室を作る際のさまざまなポイントについて解説していきます。

そもそも地下室とはどんな部屋?

「地下室」は、当然「地下にある部屋」を指します。しかし、一口に「地下室」と言っても、その形態にはさまざまな種類があるのです。注文住宅に地下室を作るには、まず自分が必要としているのがどのタイプの地下室なのかを把握する必要があります。

地下室は、形態によるものの基本的に窓がなく、外部からの採光がありません。また、地下に設置されているので防音性が高いのが特徴。これを活かして、あえてリビングを地下室にしたり、大きな音の出る楽器の練習場所として地下室を用いたりもします。

3つの地下室のタイプ

地下室の形態は、大きく分けると部屋が完全に地下にある「全地下」と、部屋の3分の1以上が地下にある「半地下」のふたつに分類できます。さらに、使用目的によっては建物の周囲を掘り下げた「ドライエリア」と呼ばれる部分もあるので、地下室の形態は大きく分けて全部で3種類となるのです。

部屋全体の埋まっている全地下タイプ

部屋全体が完全に地下にあるタイプの地下室です。そのため居室には向かず、主に倉庫や納戸として使用されます。外部からは見えないので周囲からの視線を気にしなくていいこと、断熱性、遮音性、室温の安定に優れていることがメリット。反面、外部からの採光や風通しの確保が難しいのがデメリットです。

部屋の3分の1以上が地中に埋まっているタイプ

傾斜や段差のある地形を活かせる地下室です。部屋の3分の2が地表にあるので、地下部分を駐車場として使用することも可能。また、部屋が完全に地下にある全地下タイプのデメリットである「採光、風通しの確保が難しい」という点をクリアできるのが大きなメリットです。

ドライエリアがある半地下室タイプ

建物の周囲を掘り下げた「ドライエリア」という部分を設けた地下室です。地下室を寝室や居室として利用する場合は、採光と風通しの確保のためにドライエリアを設ける必要があります。ほかにも、プライバシーの確保をするためにドライエリアを廊下や中庭として利用することも可能です。反面、ドライエリアを作るとなるとその分の費用が上乗せされる、ドライエリアに雨水が溜まらないようにするための排水設備が必要になるといったようなデメリットもあります。

地下室がある家が向いている人はこんな人

周囲の家との距離が近いけれどプライベート空間を確保したい

自宅と周囲の家との感覚が近かったり、家が道路に面したりしていると隣家や道路からの視線が気になることがあります。しかし、地下にプライベート空間を作れば周囲からの視線を気にする必要はありません。

広い住まいがほしいけれど十分な広さの土地がない人

広い住まいを建てるには広い土地が必要です。しかし、十分な広さの土地がなくても地下室を作ることで限られた土地の中に広いスペースを確保することが可能なのです。

地下室が作れない土地もあるので注意

地下を掘ることができない

自宅地下に配管やケーブルなどがある場合、掘削ができないことがあります。また、隣家との距離などの関係で地下室が作れないこともあります。

水害が起きやすい土地である

地下室を作れるかどうかを大きく左右するのが地盤の状態、ひいては水害のおきやすさです。地盤がゆるくて水害が起きやすい土地では、地下室を作るのは避けたほうがいいでしょう。

地下水位との関係

土地の地下に地下水がある場合、地下水位が地下室のために掘り下げる高さよりも高いと浸水の危険があります。そのため、地下室が作れるのは地下水位が掘り下げる高さよりも低い場所に限られるのです。

地盤が軟弱だと地下室を作れない

家を立てている地盤に十分な強度がない場合、地下室を作るために地盤を掘削することができません。もちろん、地盤改良工事という選択肢もありますが、当然それには大きな費用がかかってしまいます。

地下室がある家のメリット

地下室はある家には、ない家に比べさまざまなメリットがあります。これらの特徴を活かせば、ほかにない地下室のある家ならではのメリットを持った住まいを作ることができるでしょう。

床面積が増える

土地には、「容積率」という土地の面積に対する建物の延床面積が定められています。つまり、狭小地に容積率ギリギリの住まいを建てようとすると、どうしても十分な広さを持った生活空間が確保できないことがあります。

限られた土地にできるだけ広い床面積の建物を建てようとするときの選択肢としてはフロア数を増やして2階建て3階建てにするのが一般的ですが、それ以外の選択肢として「地下室を作る」という手段があります。建築基準法による地下室の定めでは、「その建物が住宅として使われており、地階の天井が地面から1m以下の位置にあること、かつ地下室の床から地面までが天井高さの1/3以上のもの」となっています。この条件を満たしていれば、延床面積の3分の1がカウントから除外されるのです。そのため、上にフロアを積み上げるよりも下に地下室を作ったほうがお得です。

地下室は災害に強い部屋

地下室の大きなメリットとして、災害、特に地震に対して非常に強いという点が挙げられます。地震の際、地上に建てられた建物は地震の揺れに追随するように揺さぶられますが、地下にある地下室は地震の揺れと同調するように揺れます。そのため、地上の建物に比べてダメージが少なく、倒壊する危険を抑えられます。

また、地下室は地上の建物に比べて剛性が高いので、構造がゆがみにくいというメリットもあるのです。

気温、湿度の安定した部屋が手に入る

地下室は、風通しの確保のために建築基準法で調湿・換気のための設備の設置が義務付けられています。このため、地下室は気温や湿度といった環境が安定した空間として利用できるのです。紫外線や空気などに弱い美術品やワインのように冷暗所での保管が必要な物品などを保管するのに地下室は適していると言えるでしょう。

ほかにも、あえて家族が集まるリビングや居室を環境の安定した地下室にすることで、冷暖房の使用量を抑えるという方法もあります。

防音性に優れている

地下室の大きな特徴がその防音性の高さです。地下室は地面に囲まれているので外部の音も内部の音も伝わりにくくなっています。また、壁や床も上部で分厚いコンクリートなどで構成されているので、必然的に防音室のような構造となっているのです。そのため、地下室にはホームシアターや楽器の練習場所として使うこともできるのです。ほかにも、外部の音が聞こえにくいことから書斎や読書部屋として使うのもいいでしょう。

地下室のデメリット

地下室には、メリットがあればデメリットもあります。そのため、地下室の建造を考えているなら、メリットだけでなくデメリットも知っておく必要があるのです。メリットとデメリットをよく比較して、地下室の建造を決めましょう。

建築時のコストがかさむ

地下室を作るとなると、当然その分の費用が発生します。地下室の建造は、ただ穴を掘るだけではありません。穴を掘るための重機を用意し、掘ったあとの土を処分し、部屋の枠を制作したあとは電気設備や排水設備などを入れなくてはいけません。

その費用は大まかに見ると、一坪当たり50万円〜100万円はかかると見ていいでしょう。さらに、地盤強化工事が必要な場合はさらに費用が重なります。

ただし、都心部などの土地代が高い場所では、広い住まいを建てるための土地の購入費用と地下室を作るための費用では相殺されることもあるので、まずは金額を確かめてみましょう。

換気・除湿設備が必要

地下室、特に全地下タイプの地下室は窓がないので、どうしても湿気がこもりやすい環境になります。それを防ぐためには換気・除湿設備の導入が必要です。地下室を倉庫として利用する場合、中に保管する物品によっては湿気が大敵となる場合もあるので、その場合はこれらの設備の設置は必須となりますが、当然その分の費用が上乗せされます。

まとめ

地下室は、限られた土地に十分な床面積を持つ住まいを建てたり、工具や楽器などの大きな音を出す道具を周囲を気にせずに使うための空間として利用したりできる便利なものです。

地下室の大きなメリットは、土地を広げずに床面積を増やせる、地震に強い空間を確保できる、遮音性の高い部屋を持てるといったメリットがある反面、建造費がかさむ、地盤の状況によっては建てられない場合もあるといったようなデメリットもあります。

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